【シンガポールリート】Mapletree Industrial Trust決算概要【2020年度】

【シンガポールリート】Mapletree Industrial Trust決算概要【2020年度】

どうもTatsuoです。

Mapletree Logistics Trustに引き続き、Mapletree Industrial Trustも、先日、2020年度の決算を発表しました。

Mapletree Industrial Trustは、Data CenterなどIndustrial系のリートで、配当利回りが4.5%以上、増配続きなこともあって、配当狙いで私がコツコツ積み増している銘柄でもあります。

これからの投資の参考のため、決算のポイントをまとめてみました。

Tatsuo
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決算資料はこちらからダウンロードできます

収益指標

さて、まずは決算資料29枚目の表から、収益指標を読みとってみます。

  • Gross Revenue:対前年10.2%増
  • DPU(一株当たり配当):対前年2.5%増
  • 税前利益:対前年46.1%減

Gross Revenueの増加は、主に北米のデータセンターが下支えとなっているとのことです。

コロナ禍のRental Reliefといった下振れ要素があった中での増加は、さすがIndustrialという感じです。

税前利益は、主に保有物件の評価損により、対前年で46.1%の減少となっています。

シンガポールリートが採用している会計基準、IFRS(国際会計基準)では、評価損益を当期の損益に含みます。

そのため、当期利益にだけ着目すると、評価益が大きく出ていた場合には収益性を過大評価してしまう可能性があり、反対に、評価損が出ている場合には収益性を過小評価してしまう可能性があります。

したがって、シンガポールリートの収益を評価する場合は、FFO(Funds From Operation)もしくはCAD(Cash Available for Distribution)に着目した方が良いでしょう。

FFOやCADは、事業から得られるキャッシュフロー、言うなれば、手元にあるお金の増減を反映しているので、より収益の実態を正確に把握することができます。

表の下から二段目に、Amount available for distributionという呼称でCADが開示されていますので、今回はそちらに着目します。

Amount available for distribution(配当可能総額)は11.3%増加と、コロナ禍にも関わらず比較的増加しています。

配当可能総額の増加に対し、DPU(一株当たり配当; 上の表最下段)は、2.5%増と少額ですが、これは期中のRights Issueにより、発行株式数が増加したためです(6.8%増加)。

Tatsuo
Tatsuo

コロナ後の景気回復、並びに新たに買収した北米データセンターよる、さらなる業績向上を期待しています。

ポートフォリオの状況

次に、ポートフォリオを見てみましょう。

Asset Under Management(AUM)は、SGD 5.9 BnからSGD 6.8 Bnへ増加しています。

これには、主に北米データセンターの買収が寄与しています。

円グラフの通り、ポートフォリオの41.2%(北米35.0%、シンガポール6.2%)がデータセンターです。

2020年、Mapletree Industrial Trustは潜在的な成長が期待されるデータセンターへの投資を増やすことを決定し、特に世界最大の市場である北米の物件の買収に注力しています。

今後も積極的な投資が期待されます。

Tatsuo
Tatsuo

シンガポールでのデータセンターリートと言えば、Keppel DCが有名ですが、株価が高く、配当利回りが3.5%程度と少々利回りが低下中です。

それに比べ、Mapletree Industrial Trustは配当利回り4.5%近辺なので、現時点ではより魅力的であると考えています。

リターンの状況

MIT-Return

投資家として最も気なるのは、利益をどの程度株主に還元しているか、という点ではないでしょうか。

Mapletree Industrial Trustについていえば、上のグラフが示す通り、上場以来毎年増配を続けています。

Distributable Incomeがしっかりと右肩あがりで増加していることから、利益の増加に伴って配当を増やしていっていることが読み取れます。

今後の見通し

最後に、今後の見通しについて。

ポートフォリオの土台であるシンガポール国内の物件については、分散された顧客基盤(=特定顧客・セクターへの依存度が少ない)をもとに、安定した収益が期待できそうです。

成長ドライバーである北米データセンターについては、買収完了案件による収益への貢献が期待できるのではないでしょうか。

まとめ

本記事では、Mapletree Industrial Trustの決算発表をまとめました。

また、本日(2021年5月20日)、Mapletree Industrial Trustは、北米データセンターを買収するとの発表を行いました。

この件についても、別途記事でまとめますので、しばらくお待ち下さい。