【シンガポールリート】データセンター中心のポートフォリオを構築しよう

【シンガポールリート】データセンター中心のポートフォリオを構築しよう

どうもTatsuoです。

さて、今回はデータセンターに焦点を当てて、シンガポールリートを見ていきます。

これまで何度も解説してきたシンガポールリートですが、ひとくちにシンガポールリートと言っても、工業施設 (Industrial) を中心にしたリート、オフィス (Commercial) を中心としたリート、商業施設 (Retail) を中心としたリートなど、所有している物件によって様々な種類に分けることができます。

昨今のコロナの蔓延により、オフィスや商業施設のリートは需要が低迷し、価格が下がってしまいました。

そんな状況でも需要の底堅さが目立ったのが、データセンターを所有しているシンガポールリートです。

データセンターとは、サーバーなどの装置を設置、運用することに特化した物件のことで、今後の市場拡大も期待できるといわれています。

そこで、本記事では、データセンターを所有しているシンガポールリートをまとめるとともに、データセンター中心のポートフォリオを組むと仮定した場合の組み合わせを考えてみました。

データセンターを所有しているシンガポールリート

2021年7月13日現在、データセンターを所有しているシンガポールリートは以下の3つだけです。

  • Keppel DC Reit
  • Mapletree Industrial Trust
  • Ascendas Reit

なお、Ascendas India Trustもデータセンター開発への投資を発表しましたので、近い将来データセンターを所有するシンガポールリートの仲間入りをすることでしょう。

Ascendas India Trustについての詳しい解説はこちらの記事をご覧ください
【シンガポールリート】Ascendas India Trustについて

各銘柄について、それぞれのポートフォリオの状況について見てみましょう。

Keppel DC Reit

Keppel DC Reitはその名の通り、データセンターに特化したシンガポールリートです。

従って、構成比率におけるデータセンターの割合は100%です。
KeppelDC

Keppel DC Trustのポートフォリオにおける地理的構成比率は、シンガポールが約60%、豪州約10%、欧州約30%となっています。

意外なことに、世界最大のデータセンター市場である北米のデータセンターは所有していません

Mapletree Industrial Trust

Mapletree Industrial Trustは、物流関連 (Logistics) 物件以外の工業施設 (Industrial) 物件に投資するシンガポールリートで、データセンターも対象物件となっています。

Mapletree Industrial Trustのポートフォリオに占めるデータセンターの比率、並びにデータセンターの地理的構成比率の内訳は以下の通りです。
MIT

最近、北米データセンターの大型買収を行い、北米データセンターを所有する唯一のシンガポールリートとなりました。

北米データセンターの大型買収の影響で、現在、データセンターがポートフォリオの53.6%を占めています

Tatsuo
Tatsuo

もはやデータセンターリートと言っても過言ではないですね。

地理的分散に注目すると、53%のうち、5%がシンガポール、49%が北米となっています。

Ascendas Reit

Ascendas Reitは、工業施設 (Industrial) 物件中心のシンガポールリートです。Industrial分野では最大のシンガポールリートです。

Ascendas Reitのポートフォリオに占めるデータセンターの構成比率、並びに地理的構成比率は以下のようになっています。
Ascendas

最近の欧州データセンター買収の影響で、ポートフォリオの約10%がデータセンターとなり、投資しているデータセンターの地理的内訳も、半分以上が欧州となっています。

先述のKeppel DC Reit、Mapletree Industrial Trustと比べると、データセンター比率は小さめです。

どれを選ぶ?:データセンターへの投資という観点から

さて、上記でそれぞれ見てきた3つのシンガポールリートですが、データセンターへの投資という観点からポートフォリオを構築するとした場合には、3銘柄すべてに投資することがベターであると考えます。

まず、Keppel DC Reitは、100%データセンターで構成されたシンガポールリートですので、データセンター中心のポートフォリオを組むなら外せない存在になるでしょう。
ただし、世界最大の北米データセンターの所有をしていないため、地理的分散という観点からみると、これだけでは不十分です。
また、配当利回りが3%後半とあまり高くない点も、Keppel DC Reit1本に絞ることを躊躇する要因となるでしょう。

そこで組み合わせたいのが、Mapletree Industrial Trustです。

北米のデータセンターを所有する唯一のシンガポールリートですので、Keppel DC Reitと併せて投資をすることで地理的分散を図ることができます。
また、Mapletree Industrial Trustは4%以上の配当利回りが期待できるため、利回り向上の面からも有益だと思います。

3つめのAscendas Reitは、欧州のデータセンターポートフォリオの補完と考えるとよさそうです。
分散の効いたIndustrial物件への投資ができる点と、配当利回りが比較的高め (4%後半) である点もメリットとなり得るでしょう。

シミュレーション:SGD 10,000を投資した場合

Keppel DC Reit、Mapletree Industrial Trust、Ascendas Reitの3銘柄に合計SGD 10,000を投資し、データセンター中心 (PFの50%程度) のポートフォリオを構築しつつ、そこそこの配当利回り (4.5%程度) を目指せる組み合わせを考えてみました。

投資額の配分と配当利回りは以下の通りです。

銘柄 投資額 想定利回り
Keppel DC Reit SGD 3,000 3.80%
Mapletree Industrial Trust SGD 3,500 4.50%
Ascendas Reit SGD 3,500 4.80%
仮想PF合計 SGD 10,000 4.40%

仮想PF

売買手数料、売買単位を考慮せずに算定しています

データセンターのポートフォリオ構成比率を、約52%とした場合、想定配当利回りは4.40%となりました。

地理的にも、北米、欧州、東南アジアに幅広く分散することができることが、グラフから読み取れることと思います。

Tatsuo
Tatsuo

データセンター中心かつ、配当利回り4.40%は悪くないと思います!

配当利回りをもう少し高めたい場合は、Ascendas Reitの比率を高めるか、もしくは株価が値下がりしたタイミングで投資すると良いでしょう。

まとめ

さて、データセンターを所有するシンガポールリートについてまとめてきました。

最後にシミュレーションしたように、シンガポールリートへの投資を通じてデータセンター分野に投資し、そこそこの配当利回りを得る、というのは面白い選択だと思います。

今回の検証に使用した各社のポートフォリオ構成比率は、下記リンクの各社プレゼンスライドから詳しく見ることが可能です。

Tatsuo
Tatsuo

ポートフォリオ構成は日々変化しますので、定期的に各社のポートフォリオ構成をチェックすると良いですよ!