【所得税 Part 1-5】資産運用面で確定申告が必要になるケース【所得税の仕組みに詳しくなろう!】

【所得税 Part 1-5】資産運用面で確定申告が必要になるケース【所得税の仕組みに詳しくなろう!】

さて、少し間があいてしまいましたが、所得税シリーズの続きです。

パート1-4までで、所得税の概要や、総合課税・分離課税の計算方法について触れてきました。

これらの計算方法は、知っていると確定申告の時に役立つのですが、そう言われても今まで株取引での確定申告なんてしたことがない!という方もいることでしょう。

そこで本記事では、どのようなケースだと確定申告が必要となるか解説したいと思います。

証券口座の種類

確定申告の要不要を解説する前に、証券口座の種類について、簡単に解説します。

日本の証券会社では、特定口座(源泉徴収あり)、特定口座(源泉徴収なし)、一般口座、非課税口座(NISA)の4つの選択肢の中から口座種類を選択します。

これらの口座の種類は確定申告の要不要に関わってくるので、自分がどの口座種類を選んだのかを把握しておくことが大切です。

特定口座(源泉徴収あり)

所得税・住民税を源泉徴収して証券会社が納めておいてくれる口座です。
基本的に確定申告は不要です。

特定口座(源泉徴収なし)

源泉徴収はしてくれないので、自分自身で確定申告をする必要があります。
ただし、証券会社が確定申告用の書類をくれるので、負担は小さいです。

一般口座

一般口座では、証券会社は何もしてくれないので、取引記録等、全ての記録を自分でつける必要があります。
もちろん、確定申告も自分で行う必要があります。

なお、海外の証券口座も一般口座に該当します。

非課税口座(NISA)

NISA口座は、そもそも非課税なので、確定申告は不要です。

特定口座の口座種類で、源泉徴収あり・なしと分かれているのは、譲渡所得(株の売却益)に関する所得税の源泉徴収を意味します。

一方で、配当所得に対する所得税は、特定口座であろうと、一般口座であろうと、源泉徴収されているので、基本的に確定申告は不要です。

Tatsuo
Tatsuo

ただし、海外の証券口座では配当についても源泉徴収されませんので、海外の証券口座で発生する所得については、全て確定申告が必要です。この点についてはパート2で詳しく記載します。

どの口座種類を選択すべきか

日本で証券口座を開設する場合、まず、非課税であるNISA口座は必ず開設しましょう。

その上で、NISAの上限を超えた取引をする場合、特定口座(源泉徴収あり)を選択するべきでしょう。

給与所得者で、特定口座(源泉徴収なし)を選択しておけば、株の売却益が20万円未満なら確定申告をせずに済む!と考える人もいるかと思いますが、20万円を超えない場合であっても、住民税についての申告が必要です。

また、株の売却益以外で所得があり、給与所得以外の合計が20万円を超過する場合にも、確定申告が必要です。

そのため、特定口座(源泉徴収なし)をわざわざ選択するメリットはないと考えます。

参考:給与所得者で確定申告が必要な人−国税庁

確定申告の要・不要

では、どんなケースだと確定申告が必要(もしくはしたほうが良い)のでしょうか。

確定申告が必須

株取引を、特定口座(源泉徴収なし)、もしくは一般口座(海外の証券口座も一般口座に該当)で行い、譲渡所得が発生している場合、確定申告は必ず行わなければいけません。

(必須ではないが)確定申告した方が良い

株取引を、複数の特定口座(源泉徴収あり)で行っており、そのうち一つで赤字が発生している場合には、確定申告を行った方が良いでしょう。

特定口座(源泉徴収あり)で取引をしていれば、基本的には株取引における確定申告とは無縁の生活を送ることができます。

しかし、複数の証券会社で証券口座を開設しており、そのうち1つの口座の取引結果が赤字となっている場合には、確定申告を行った方が良いです。

なぜなら、確定申告を通して赤字口座と他の黒字口座の収益を相殺することができ、黒字口座で源泉徴収されていた税金の還付を受けることができるためです。

確定申告は不要

一方で、以下のパターンの場合には、確定申告は必要ありません。

  • 特定口座(源泉徴収あり)で取引しており、赤字が発生していない
  • 非課税口座(NISA)での取引

まとめ

本記事では、証券口座の種類と、確定申告の要不要について解説しました。

次回は、所得控除と税額控除について記事にしたいと思います。