【シンガポールで転職】現地転職体験談【駐在員から現採へ】

どうもTatsuoです。

少し前になりますが、日系企業のシンガポール駐在員から、外資系企業に現地採用で転職しました! 振り返るとあっという間のドタバタ劇でしたが、転職までの体験談をまとめたいと思います。

Tatsuo

転職に際し検討したこと、実際に転職してから感じたことなどについて書きました。

シンガポール駐在

もともとシンガポールには社内異動ビザ(ICT:Intra-corporate Transferee; 最長5年間)で、2018年より赴任していました。

参考:Can a job be exempted from the advertising requirement if it will be filled by an intra-corporate transferee (ICT)? ―― MOM

現在、シンガポール政府の規制変更により、ICTでの赴任の場合、配偶者を帯同できない(日本はシンガポールとの協定がないため)、将来のPR申請ができなくなる等、いろいろと制限が加えられてしまっています。
MOM clarifies differences between ICT, other EP holders
――The Business Times

日本に帰りたくない!

シンガポールでの労働環境、具体的には短い通勤時間、家族重視の文化、明確な職務内容、アジアのハブであるが故の担当地域の広さ、自由な雰囲気などといった点は、私にとって非常に魅力的で、日本に戻りたくないという気持ちは日に日に強くなってきました。

ちょうど会社の人事規定の変更があって、日本に帰ったところで今後の給与の伸び率が芳しくない、ということも、戻りたくない気持ちに拍車をかけました。

そんな矢先、取引先の友人から、今の会社が人を探していることを教えてもらったのです。 これが大きな人生の転機となりました。

転職活動、始まる

友人を介して先方に連絡を教えたその日のうちに、先方のシンガポール拠点長から直接、Hiring Manager (=直属の上司となる人) と話をしてもらうからよろしくね!と連絡がきました。

その直後にHiring Managerからも連絡があり、翌日に電話面談が行われることになったのでした。

Tatsuo

なんというスピード感…。

理想の月収

あっというまに面談まで漕ぎ着けてしまったものの、突然の展開にこちらもバタバタです。

これまで、日本の社会保障(年金や健康保険)もキープしつつ、シンガポールでの医療保険も会社に負担してもらいながら、いわば会社に守られた形で、期間限定の異国生活体験をしてきたわけです。

これがいざ現地での就職となると全て失われるのですから、失ってしまうベネフィットも多い。

しかも次の会社は欧米系の外資系企業で、福利厚生にはそこまで期待はできません。

妻と話し合った結果、駐在時対比で金銭面の待遇が見劣りしないレベルでなければ、現地転職するリスクは取れない、ということに。

そこで、駐在時の月収+家賃+生活費+毎月の理想の貯蓄額を上回る月収となるように、理想の月収を定めました。

正直に言ってこの時点で、転職は現実的ではないと考えていました。というのも、今の自分の年次でMyCarrierFuture (シンガポールの求人一覧) に掲載されている求人を見ても、理想の月収に達する求人はなかなか上がってこないからでした。

面談してみても、おそらく金銭面で折り合いがつかず終わるだろうと考えていました。

面談1

翌日、まずはHiring Manager(今の上司)と電話面談に挑みました。

といっても、電話の雰囲気はとてもカジュアルで、とても採用に関わる面談だと思える雰囲気ではありませんでした。

面談では、今の会社の状況 (前任者が他社に引き抜かれ、後任を探していた) や、会社の雰囲気、ビジネスの内容について説明をしてもらった後、こちらから私の経歴や、シンガポールで担当していた業務について話をさせてもらいました。

一通り話をした後、先方から、ところで…と給与について切り出してくれたので、「あまりシンガポール市場での相場を知らないのでもし失礼なら申し訳ない」と前置きしたうえで、希望の月収を伝えました。

加えて、現在の駐在員として得ている給与・家賃補助の状況・日本の社会保険料負担などについいても説明しました。

すると、意外にも先方は、要望した月給を約束できると言ってくれるではありませんか。

驚いて相場を尋ねてみると、ちょうど私の希望した最低月収は相場のレンジのちょうど真ん中だったのです。

しかも社内ルールで、転職前と転職後の月収をコンプライアンス担当が確認して、下がらないように気を付けてくれるということ。(万が一転職後の月収が下がる場合は、収入が減少してでも転職してきたい正当な理由が求められるらしいです。)

Hiring Managerは金銭面での待遇のほかにも、あらゆる質問に嫌がることなく答えてくれました。

業務面、会社の医療・死亡保険パッケージ(シンガポールは会社の保険が非常に重要です。個人で加入すると保険料は非常に高い。)のこと、勤務体系のことなど、日本では面接のタイミングではなかなか聞きづらい内容についてもこの段階で知ることができたのは非常に良かったですし、何より全ての質問に真摯に答えてくれるHiring Managerの人柄に惹かれたのでした。

面談2

翌日、レジュメ送付依頼が来ると同時に、シンガポール拠点長との面談の日取りが設定されました。

シンガポール拠点長との面談もまたカジュアルで、「うちで働くうえで何か聞いておきたいことある?」という感じで、向こうから特に質問されることもなく、私から気になることを聞いて終了、という感じでした。

Tatsuo

おそらく、採用された場合に直接関わるHiring Managerに採用の判断を一任していたからだと思います。

面談の最後に一点だけ、希望するポジションンについて尋ねられました。

ダメもとでシニアマネージャーが良いですと言ってみると、「一般的にもう少し経験年数が上の人のポジションだけど、別に年数じゃないからね、検討しておくわ」と返してくれました。

年功序列の会社でよくある「30歳ならこのポジション」というようなものはなく、純粋に能力ベースでポジションを決定する雰囲気に非常に好感を抱きました。

面談3−最終面接−

シンガポール拠点長との面談が終わった直後、本社のラインヘッドの面談が設定されました(なんと拠点長との面談の翌日に)。

この面談も、簡単な話を交わしただけで終了しました。

採用!

後日、メールでオファーレターが届き、無事採用となりました。

最初の面談からオファーレターを受領するまで、営業日にして約7日間という驚くべきスピードで、あまりにとんとん拍子で話が進むため、騙されていやしないかと心配していたのですが、幸い何もおかしなことは起こらず、今に至っています。

人事担当ではなく、上司自身が欲しい人材を確保しに動いている点や、その上司に採用の権限が与えれている(上司がいいと思うなら採用しようという雰囲気)点が、採用プロセスのスムーズさに繋がっているのだと思われます。

ちなみに、後日EP申請書類にて判明したことですが、私以外にも面談を受けていた候補者が10名ほどいたようでした。

転職活動を終えて

転職活動、といっても今の会社との面談しか経験していないので、ほかの企業と比較することはできませんが、質問に何でも答えてくれるというようなオープンなスタンスは、入社後のミスマッチを防ぐためにもとても有効だと感じました。

実際に入社してみて、思っていたのと違う…といったことを感じたことはありません。

ただ、突然現地に無期限で暮らすことになって、家族や子どもの教育の問題(親族と会いづらくなる、どこで教育を受けさせるかなど)は、まだ手探り状態です。

これらの点については、その都度家族で話し合いながら、前に進んで行けたら、と思っています。

まとめ

というわけで、以上が駐在員から現採になるまでの私の体験談でした。

この転職活動で一番痛感したのは、人脈と、市場での自分の評価の大切さです。

取引先の人と友人になっていなければ、この話はそもそも降ってこなかったわけですし、真面目に仕事をしていなければ、その友人も先方に私のことなど紹介してくれなかったでしょう。

人とのつながりは次の縁を運んでくれるということ、見る人は自分を見てくれているということを忘れずに、今後も精進したいと思います。