【シンガポールで投資】日本帰国を見据えた投資戦略について考える【投資対象比較】

どうもTatsuoです。

シンガポールは配当所得・譲渡所得が非課税で、投資をするには天国のような場所ですよね。

しかし、私のような駐在員には、いつか日本へ帰らなければならくなる時がきます。

本記事では、私のような”いつか日本に戻らなければならない”人がシンガポール居住中に投資する際のポイントと、それに基づく主な投資先について考察してみます。

シンガポール居住期間の投資

シンガポール居住期間の投資をする際に考慮すべきポイントは、以下の5点だと考えます。

  1. 配当所得・譲渡所得(キャピタルゲイン)が非課税
  2. 二重課税が生じない
  3. 米国配当については(租税条約がないため)日本より不利
  4. 証券会社の手数料が高い
  5. 日本帰国を見据えた長期スパンでの投資戦略

1. 配当所得・譲渡所得(キャピタルゲイン)が非課税

シンガポールでは、配当所得やキャピタルゲインに対して課税されません。

配当重視で投資をする方にとっても、キャピタルゲインを積極的に狙う方にとっても、最高の国だと思います。

2. 二重課税が生じない

当然ではありますが、配当所得等が非課税であるため、日本と違って二重課税は生じません。

そのため、外国市場に投資する際は、投資銘柄の源泉徴収税率に留意するだけで済みます。

3. 米国配当については(租税条約がないため)日本より不利

シンガポールは米国との租税条約を結んでいません。

そのため、配当金には米国の源泉徴収税率である30%が課税されます。

一方、日本は米国と租税条約を結んでいるため、日本居住者が米国所在企業に投資をした場合、米国における配当金の源泉徴収税率は10%となります。

日本国内でかかる所得税、住民税(20.315%)を合わせても、わずかですが日本から投資するほうがシンガポールから投資するよりも有利です。

例えば、
米国で100円の配当が出たとしましょう。

シンガポール居住者の場合、米国で30%の源泉徴収(シンガポールは非課税)があります。
よって、配当金の最終的な手取りは
(100円×(1-30%))=70円となります。

一方、日本居住者の場合、米国で10%の源泉徴収と、さらに日本で所得税・住民税20.315%が課されます。
よって、配当金の最終的な手取りは
(100円×(1-10%))*(1-20.315%)=71円となります。

Tatsuo

わずかな差に見えますが、塵も積もれば山となる、です!

4. 証券会社の手数料が高い

日本と比較した場合、シンガポールは証券会社の手数料が高いです。

そのため、頻繁に売買をして利益を上げることは、コストの面から効率が悪いと考えます。

5. 日本帰国を見据えた長期スパンでの投資戦略

シンガポールに居住している期間だけ取引をし、帰国時にはすべて引き上げることを前提としてしまうと、数年間のうちに大きく値上がり益が得られる、もしくは配当は出るが株価は値下がりしない、という銘柄を探す必要が出てきます。

いつ日本に帰国するか分からない身としては、このような戦略は現実的ではありません。

そのため、日本帰国後も保有し続けることを前提に、長期保有できる株に焦点を絞って投資するほうが良いと考えています。

投資先別でみるシンガポール居住中に投資する魅力度

主な投資先ごとに、シンガポール居住中に投資する魅力度について考察したものを、表にまとめました。

投資先 魅力度 シンガポール居住中に投資する際の留意点 日本帰国後の税率
シンガポール株 ☆☆☆ 配当・譲渡益への課税がない
日本からは購入できない銘柄が多い
配当・譲渡益への課税は日本の所得税・住民税のみ
為替を除けば日本株への投資と同じ
米国株(配当目的) 配当金に30%の源泉徴収が課されるため、
日本対比でわずかだが配当利回りが低下する
租税条約の適用により、
配当金の源泉徴収税率が10%に
米国株(キャピタルゲイン目的) ☆☆ シンガポール居住中に値上がりすれば、
キャピタルゲインに対する課税が発生しないのでgood
日本から投資するときと同じ
英国等源泉徴収が無い国のADR ☆☆☆ 配当・譲渡益への課税がない 日本から投資するときと同じ

まとめると、いずれ日本に帰国する人にとって最も魅力的なのは、

  • シンガポール株
  • 英国等源泉徴収が無い国のADR

であると考えます。

シンガポール居住中にとりたい投資戦略

上記の考察を踏まえ、私は、

  • シンガポール株:主にシンガポールリート
  • 英国ADR:GlaxoSmithKline、British American Tobacco

といった、安定配当銘柄への投資に注力しています。

特にシンガポールリートは、日本からでは投資が難しい優良個別銘柄に、為替手数料なしで投資ができますので、優先順位を高くしています。

Tatsuo

月に一度、保有ポートフォリオを公開していますので、興味がある方はぜひご覧ください!

米国株への投資について考える

上記の表でも書いた通り、米国株、特に高配当株へは、シンガポール居住中に優先的に投資を行う魅力が薄いように感じます。

もちろん、シンガポール居住中に、2020年のコロナショックのように大きなチャンスが来たときは、当然投資すべきだと思います。

しかし、それは別に、シンガポールに住んでいるか否かとは関係のない話です。

Tatsuo

特にシンガポールにいるからこそのメリットは感じないので、日本にいるときのような感覚で投資を検討しています。

もしシンガポール居住中に米国株に投資するならば、VTやVOO、VTIのような全世界もしくは米国のインデックスタイプの銘柄の積立投資がベストだと考えています。

なぜなら、これらのインデックスタイプの銘柄は、長期で積立を続けてこそ効果が出るものであり、積立を始めるのであればなるべく早いほうが良いと考えているからです。

Tatsuo

私は現在VTを積立ており、日本帰国後はeMasis Slim全世界株式もしくは楽天VTでの積立を継続する予定です。

シンガポールに永住する場合

ちなみに、シンガポールに永住する方で、米国や全世界株式のインデックスタイプの銘柄に投資したい方は、米国上場のETFよりも、アイルランドドミサイルで英国市場に上場しているVUSDなどのETFに投資した方が効率的です。

なぜなら、米国上場ETFであれば30%の源泉徴収がありますが、アイルランドドミサイルのVUSDなどは、米国・アイルランドの租税条約により、源泉徴収税率が15%となっているからです。

ただし、これらの銘柄は、流動性が米国対比で劣る点については注意が必要です。

なお、いずれ日本に帰国する方であれば、配当利回り1.5%程度の銘柄の源泉徴収税率を15%節約するために、わざわざシンガポール居住中にアイルランドドミサイル銘柄を購入する合理性は低いと考えます。

なにより、日本からならばVOOなどに投資しても源泉税率は10%となるので、日本帰国後はアイルランドドミサイルよりもVOOなどのほうが税率的にお得になりますしね。

日本帰国後は二重課税に注意

シンガポールで投資をして、日本に帰国した後も長期保有を考えている方は、二重課税に注意が必要です。

日本では、国外源泉所得に対しても所得税・住民税が課せられます。

また、シンガポールの証券会社で米国株を取引した場合、取引を開始する際に、Form W-8BEN(米国税の源泉徴収および報告に関する受益者の証明書)を提出したと思いますが、これについては、日本帰国後に再提出をする必要があります。

現行FormのPartⅡの欄に、日本居住者である旨を記載すれば、軽減税率が適用される(はず)です。

仮に適用されなかった場合、Form 1040-NRを提出すれば、米国国税庁から還付を受けることができます。

まとめ

本記事では、シンガポール居住中の投資のポイントと、それに基づく投資戦略について考察してみました。

あくまで私がこう考えるというだけですし、もちろんこれが唯一の正解だとも思っていません。

皆さんが投資を考える際の参考になればうれしいです。