【保険とSNS】保険不要論について考える
どうもTatsuoです。
保険業界で働いていると、SNSを眺めていても、どうしても保険に対する意見に目が留まります。
最近ちょくちょく見かけるのが、”保険不要論”なるもの。
たしかに、明らかに不要だと考えられる保険商品が一部あるのも事実ですが、SNSを見ていると、偏った知識を基にしていたり、二次情報に基づいて”保険は不要”であると発信している場面も見受けられます。
そこで、本記事では、保険不要論に対する私の考えを述べたいと思います。
保険不要論に対する私の見解
結論から言うと、保険の必要性はそれぞれの家計状況によって異なるので、一概に”不要”とは言えません。
ただ、人それぞれなのだから保険不要論は間違っている、と全面否定してしまっては元も子もないので、保険不要論の何が具体的に問題なのか、考えてみました。
保険不要論の問題点
保険不要論には、2点の問題点があると考えます。
- リスク許容度の視点の欠如
- 合理性と必要性の混同
それぞれ、何が問題なのか、詳しく解説します。
1. リスク許容度の視点の欠如
本ブログで何度かお伝えしていますが、保険の本質は、リスクの移転です。
保険に加入するか否かを検討する際に考慮する必要があるのが、リスク許容度、すなわち、経済的損失をどの程度許容できるかです。
なぜなら、その人(もしくは企業)のリスク許容度を超えるリスクを移転するために、保険は存在するからです。
資産が数億円あるような人であれば、リスク許容度は高く設定できる、つまり保険でリスク移転をする必要性は低いでしょう。
反対に、貯蓄が少なく、自分に万が一のことがあると残された家族が生活に困る、という人であれば、リスク許容度は低く、保険でリスク移転をする必要性は高くなります。
SNSで散見される保険不要論では、保険は無駄であると言い切るために、各々のリスク許容度を考慮する視点を欠いてしまっていると思うのです。
2. 合理性と必要性を混同している
保険という商品は、保険会社にリスクを負担してもらう代わりに、保険料という対価を支払う商品です。
従って、リスク移転が主目的ではない、貯蓄型の保険などは、保険会社に運用経費を差し引かれる分、合理性に欠けます。
しかし、必要性という観点から考えると、話は別です。
お金があるとついつい使ってしまう、という人や、絶対に元本割れをしたくない、という人ならば、合理的ではないものの、保険会社に支払う運用経費を必要経費と割り切って、貯蓄型の保険に加入する、という選択肢も悪くはないと思うのです。
合理的ではないことを、不必要であることと結び付けてしまっている点が、保険不要論の二つ目の問題点であると考えます。
保険を検討するときに大切なこと
保険を検討するときは、保険不要論などといった意見を鵜呑みにするのではなく、
- 自分の家計状況を踏まえ、どの程度のリスクを移転すべきか、どの程度のリスクであれば保有できるかを適宜判断すること
- 自分が加入する保険の仕組みを理解し、合理的でない部分を理解したうえで加入すること
が重要です。
ここで大切なのは、SNSの意見に左右されたり、セールスマンに勧められるがまま加入することなく、自分で理解し、納得した上で加入することです。
自分より自分の家計状況を把握している人はいないですからね。
自分で理解せずに保険に加入してしまっている場合は、しっかりと現在加入している保険の内容を理解することから始めると良いと思います。
もし不適切であると考えるならば、契約の切り替えを検討しても良いです。
今まで保険料を支払ってきたから、と躊躇して将来の意思決定を左右することは避けた方が良いでしょう。
保険は将来のために加入するものです。
過去どうしたかより、より良い将来のためにどうするか、という視点が大切です。
また、ライフイベントに伴って、必要になる保険は変わってきます。
そのため、結婚や出産、定年退職が近いなど、人生の節目節目で、その都度保険を検討するといいと思います。
不要だと思う保険
さて、ここまで”保険不要論”を一部否定してきましたが、一方で、極力入らないほうがよい、不要だと考えられる保険もあります。
それは、以下のような保険です。
- リスクを負担してしまう保険
- 既にリスク移転できているのに二重で加入している保険
- 自分で保有できるリスク範囲内に対する保険
1. リスクを負担してしまう保険
まず、リスクを負担してしまう保険としては、外貨建ての保険が挙げられます。
外貨建ての保険の多くは、保険料支払い・保険金支払いがすべて外貨で行われます。
そして、この場合の為替リスクは、契約者が負担することになります。
保険料を支払う際には、日本円をその都度外貨に変換するため、日本円ベースでの支払い保険料が固定されません。
また、将来の保険金支払いにおいても、受け取る際の為替の影響を受けるため、日本円に変換した際の額が固定されません。
リスク移転のつもりが、外貨による為替リスクを負うというのは、本末転倒ですよね。
そのため、外貨建てのような保険はお勧めできません。
2. 既にリスク移転できているのに二重で加入している保険
既にリスク移転できているのに二重で加入している保険の例としてよくあるのは、自転車保険です。
自転車保険の補償のメインは、個人賠償責任保険です。
なぜこれが二重になりやすいかというと、個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険の特約という形で、知らないうちに加入していることが多いためです。
損害保険は実損(実際に生じた損害)を上限に支払いがなされますので、仮に二つの契約に加入していたとしても、保険金を二重に受け取ることはできません。
個人賠償責任保険が重複していないか、チェックしてみてください。
3. 自分で保有できるリスク範囲内に対する保険
自分で保有できるリスク範囲内に対する保険には、医療保険が挙げられます。
日本には高額療養費医療制度というものがあり、高額の治療費、入院費などが発生した場合でも、1カ月間の医療費が一定の自己負担で済みます。
高額医療療養費制度を使えば、おおむねどのような治療を受けた場合でも、多くの家庭で、月額20万円以内に収まると思います。
月額最大20万円を、保有しきれるリスクであると捉えられる場合は、医療保険への加入は必要ないでしょう。
まとめ
本記事では、SNSで散見される”保険不要論”を受けての私の見解を示しました。
SNSをはじめ、インターネットにはたくさんの情報が溢れています。
お金のことなど、分かりにくい、とっつきにくい事柄は、分かりやすい(白黒はっきりした)情報を拠り拠にしてしまいたくもなるでしょう。
でも、結局のところ、自分の懐事情は自分にしか分からないですし、自分で正しい情報をキャッチして、理解して、意思決定するしかないのです。
本ブログが、お金についての正しい情報へアクセスするための足掛かりとなれば幸いです。
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